仕事休憩の為タバコを吸いに建物外の喫煙所に足を運ぶ。真っ暗な夜空に少し冷やっとする空気が俺の髭を刺激する。
「今日は肌寒いな」
そんな言葉が頭の中をよぎっていく。今日は12月25日街はクリスマス。華やかなライトが人々を祝福する聖なる夜だ。
もちろん独身の俺には関係がない。
俺はIQOS片手にそんな思いをかき消すかのように物思いにふける。
今年ももうすぐ終わる。俺もいい歳だ。
「こうやって物思いにふけりながら歳もふけていくんだろうな。」
こんな親父ギャグをすぐに考えつくだけでそうとうなもんだ。
確か先輩に聞いた話だが男の親父ギャグと言うのは歳を重ねるごとに多くなるのだと言う。
なんでも思考が衰えてくるからなのだとか・・・。
そんな事を考えている合間にほのかに照らしていたIQOSの明かりがパッと消える。
人の一生も最期を迎える時はこんな感じなのだろうか?
なんだか悲しいクリスマスだ。
寒い夜風を避けるようにそそくさとその場を後にする。
建物に入ると蛍光灯の照明が東西二つに分かれた廊下を明るく照らしている。二つの廊下の間には中庭があり中庭が見えるように大きな窓が廊下に沿って連なっている。
建物の中は外の気温の低さがまるで嘘かのように暖かい。本当は外も暖かいんじゃないのか?と勘違いさせてくれるには十分な暖かさだ。
俺は廊下をそそくさと通り抜け職員の詰所に入る。詰所に入りPCの前に座り仕事を黙々とこなしていく。1人のスタッフが扉のドアをノックし入ってくる。
「お疲れ様です。」
見ると会社のアルバイトの女の子である。どうやら勤務が終わり荷物を取りに来たらしい。
「私先に帰りますよ〜。夜勤頑張ってくださいね。」
いつも通りの何気ない挨拶を彼女とかわす。
「あっ!!そうだ。お菓子入ります?」
彼女が鞄の中から二つの小さなチョコレートを取り出す。
「私からのクリスマスプレゼントです。」
チョコレートを受け取り少し心が晴れた気分になる。
人の気遣いや感謝に触れると言うのはそれだけで幸せな気持ちにさせる力があるのだと感じる。
さっきまで喫煙所で感じていた孤独感はこの二つのチョコレートのおかげで吹き飛んでいた。
クリスマスそれは聖なる夜だ。
皆さんは誰かへの日頃の感謝を言葉や物で送りましたか?
ちなみにこの文章を書いていて思ったのですが・・・・
俺誰にも送ってないっ!!w
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